イー・アクセスや松下などが、図書館で無線LAN(島田雄貴、2002年7月)

通信アナリスト・島田雄貴のITニュース。本日のテーマは、東京都立図書館のホットスポットに、イー・アクセスやNTT、NEC、松下などが参加するというニュースです。

東京都が公共施設で無線LANネット接続サービス実験を開始

ホットスポット

東京都は2002年8月1日から10月31日までの3カ月間、都庁本庁舎や都立図書館など都関連の公共施設10カ所で「無線LANインターネット接続サービス実験」(通称ホットスポット)を行う。参加企業の協力を得て、公共施設に無線LANアクセスポイントを設けて実験する。

東京都総務局

実験中は、同サービスのモニターとなる利用者を対象にホームページ(HP)と調査用紙によるアンケートを行い、都民のニーズを探る。参加に必要な機器は、携帯用パソコンとIEEE802.11ビット、Wi-Fi準拠の無線LANカード。実験協力企業ごとにモニターの募集を行っており、東京都総務局IT推進室実験用HP(www.taims.metro.tokyo.jp/soumu/musen.nsf/)および各企業のHPによりモニター登録を行い、ID・パスワードなどを取得すれば、参加できる。

イー・アクセス

実験場所と実験参加企業は次の通り。

▽都庁第1本庁舎3階の都民情報ルーム=イー・アクセスとアイ・ティー・テレコム▽都庁第1本庁舎1・2階=松下ネットワークオペレーションズ/理経▽同第2本庁舎1・2階=京セラ▽同第1本庁舎南展望室=NECとNECシステム建設▽同北展望室=日本テレコム▽都民広場地下の旅券の窓口=理経▽都立図書館=アイ・ティー・テレコムとイー・アクセス/NTTコミュニケーションズ▽東京ビッグサイト=NTT東日本とISP企業各社(朝日ネット、NTT-ME、NTTPCコミュニケーションズ、ニフティ、NEC、ぷららネットワークス、松下電器産業)▽東京国際フォーラム=NTT東日本とISP企業各社(東京ビッグサイトと同じ)/モバイルインターネットサービス▽都営地下鉄大江戸線・新宿西口駅=NTTコミュニケーションズ

ILL(インタライブラリーローン、相互貸借)システム(島田雄貴、1992年4月)

図書館新時代 堅いイメージ一掃、進む自動化

古典的な図書館のイメージが急速に変わりつつある。ビデオやCDを貸し出すところが増え、コンピューターの導入も盛んだ。図書館同士を結ぶネットワーク化も進む。週休2日制の定着で余暇が増え、新たなカルチャー拠点となりつつあるようだ。30日は図書館記念日。最近の動きを追ってみた。

 
公共図書館 文庫本に力点、ビデオずらり

 東京都町田市の市立中央図書館は、ホテルも入るビルにある。1-3階はホテルのフロントやレストラン、7階から13階は客室などで、図書館は4-6階を間借りしている。1990年にオープンしたばかりだが、全国から見学者が相次ぐ。サラリーマンや主婦に大好評で、平日の利用者5000人、週末は倍増する。

 本探しが面倒、面白い本がない、雰囲気がどこか堅苦しい……といった従来のイメージを意識的にぬぐい去った。「徹底的に利用者側に立った図書館を目指した」と職員はいう。

 通勤通学の途中で本を読む人のために文庫本の収集に力を入れ、シドニィ・シェルダンなど肩が凝らないものをそろえた。人気本は同じものを数冊用意。ヤングアダルトコーナーと銘打ち、若者に人気の小説もそろえ、女子高生の占いブームには占い本でこたえる。

 一方で辞書や年鑑など貴重本のたぐいは貸し出し禁止だったが、忙しいサラリーマンらのために、2冊のうち1冊は自宅で調べ物ができるように配慮した。本の検索は、端末機で利用者が探す。目の不自由な人のための磁気誘導システムがあり、専用のつえや音声で館内を案内するという。

 秋田市の市立中央図書館は一昨年からキャプテンシステムを利用。市内の公民館やホテルなど63カ所の公衆端末機から、本の検索や貸し出し予約ができるようにした。

 洋画ビデオやCDを無料で貸し出す図書館も増えている。5年前から始めた東京都中央区立京橋図書館はその草分け的存在。保有数は現在約1300本。007やチャプリン、ディズニーのシリーズなどの洋画もそろえ、いつも1000本近くが貸し出し中だ。社団法人「日本図書館協会」と洋画系のビデオソフト会社が著作権料問題で合意したことから、全国で図書館のビデオ貸し出しが急速に増え、現在、全国約400館が無料サービスをしているという。

ネットワーク 地域格差補う

日本図書館協会によると、コンピューターで蔵書検索などを行う公共図書館は全国で40%を超え、これに伴ってネットワーク化の動きも盛んだ。全国の公共図書館数は1984館(91年4月1日現在)。市・区部の設置率93%に比べ、町村部は21%と地域格差が著しい。ネットワーク化はこの欠陥を補おうというものだ。

自治省も昨年からネットワークシステムづくりに本腰を入れ、北海道北見市、青森県、東京の多摩北部都市広域行政圏協議会、山梨県、長崎県佐世保市の5地域を、モデル地域に指定した。そのひとつ多摩北部は、昨年7月、小平、東村山、田無、保谷、清瀬、東久留米の6市が協定を結んでどんな協力ができるか探り始めた。登録さえすれば、このグループの図書館は利用できる。希望する本は他市から車の巡回便で運んでくる。

大学図書館 進む自動化、ロボットも

金沢市の郊外にある金沢工業大学のライブラリーセンターは、図書、AV(オーディオ・ビジュアル)、各種資料など約100万件をデータベース化した。貸し出し、返却、予約など一連の作業はすべて自動化され、オンライン情報検索システムで文献探しができる。

 AVコーナーではロボットが運んで来た学術・教育用ビデオや語学テープなどを専用ブースに座って利用できる。

米国図書館と提携し、コンピューターで蔵書検索

東京都文京区にある学術情報センターは、全国の国立大学95校、公立大9校、私立大73校の図書館や研究所など計186機関の蔵書、情報をデータ通信網で結び、欲しい情報をどこからでも入手できるようになっている。情報の交換には郵便とファクスを使っていたが、4月からコンピューター画面で情報を得るILL(インタライブラリーローン、相互貸借)システムができた。米国国立科学財団、米国議会図書館、英国図書館など海外の図書館との提携も進んでいる。参考:国立国会図書館 収集書誌部主任司書のCA1003 - NAILDDプロジェクト:ILLの再構築に向けて(カレントアウェアネス・ポータル)

専門図書館 トイレ・住宅・文芸 「民間」が1/4占める

水洗トイレでおなじみの東陶機器は87年、「水」の専門図書館「ライブラリー・アクア」を作った。現在、図書6000冊のほか、新聞・雑誌類、ビデオなど水に関する情報をそろえた。世界各国のトイレの写真もあり、個性派図書館として充実を図っている。

 積水ハウスは住宅建築関係の「住まいの図書館」、味の素は「食の文化ライブラリー」をつくっている。世界の雑誌を集めたマガジンハウスの「ワールド・マガジン・ギャラリー」も珍しい。

 東京・東銀座にある松竹大谷図書館は、歌舞伎、演劇、映画などの台本や文献などを収蔵、一般に開放している。

 「専門情報機関総覧91年版」(専門図書館協議会発行)によると、いわゆる専門図書館は2208機関。20年前に比べて2倍近くに増えた。官公庁や自治体、研究所、各種団体などが中心だが、民間企業は500機関を超え、全体の24%を占めている。